こんにちは、信用金庫の中の人「ひろす」です。
信用金庫で働いていると、金融ニュースの中でも特に詐欺についてのニュースに心を痛める毎日です。
詐欺グループの手口は日々巧妙化し、なぜ被害者が後を絶たないのか。
金銭をだまし取られる人を少しでも少なくできないかと思い、信用金庫職員の視点で注意点を金融コラムとして書きました。
今回のテーマは「金地金を狙う詐欺に注意!」についてです。
詐欺被害の対象が現金だけでなく、金地金も狙われている
特殊詐欺の新たな手口として、現金以外に金地金(きんじがね)がだまし取られる被害が全国で相次いでいる。 【写真】店で金地金を購入させられ、4千万円相当を詐取された男性に送られた「逮捕状」の画像 警察庁によると、こうした詐欺事件は昨年から増加しているという。 宮城県では昨年11~12月、70代女性が北海道警の警察官を名乗る人物からの電話で、金塊13キロ(時価約2億円)などをだまし取られる被害があった。 ほかにも同年8月以降、宮崎や香川、兵庫、東京、山形の各都県でも被害が確認されている。それぞれ1千万円相当以上の金地金がだまし取られたという。 事件に共通する手口は、(1)電話で被害者が「事件の容疑者になっている」などと告げる(2)金地金を用意させる(3)自宅の郵便受けや玄関などに金地金を置いておくよう指示する、というもの。 地金商大手・田中貴金属工業によると、金の平均価格は2021年12月が1グラム6580円(税抜き)だったが、24年12月は1万3082円まで上がっている。(板倉大地)朝日新聞社
2025年1月8日㈬ Yahoo!ニュース
提供元:朝日新聞DIGITALより引用
このように、金地金が狙われる詐欺の手口は全国各地で確認されており、犯罪者グループの新たな手口の一つとして確立されつつあります。
金価格の高騰も続いており、金をだまし取られる被害は当面続くことが予想されます。
金地金(きんじがね)とは?
金地金とは、保管しやすいように変形させた金の塊のことです。
インゴットやゴールドバーなどとも呼ばれており、銀行預金以外の投資資産として流通しています。
金地金は国際的な規格で審査され、「K24」つまり混ぜ物がない純金でなければ認定を受けられません。
その認定があるからこそ、金地金は世界共通の価値として認められています。
なぜ金地金(きんじがね)が狙われるのか?
第一に、「金をだまし取る手口」がまだ広く認知されていない、新しい手口であることが挙げられます。
「現金」をだまし取ることに対しては、今は十分に認知され、騙される本人だけでなく、家族、金融機関、宅配業者などさまざまな人が「現金を詐欺でだまし取られない」ように気をつけています。
次に、金は投資対象として広く知られています。
そもそも、金を持っている方は投資家や富裕層の人が多い。
金をこれから持ちたい方は、資産を増やしたい(=投資をしたい)という欲を持っている人が多いです。
つまり、詐欺グループのターゲットになりやすいという特徴があります。
余談ですが、金は重さあたりの価値が高いという特徴もあります。
同じ1キログラムでも、金なら約1,516万円(2025年1月10日現在、金1gあたり15,162円)、大きさはスマホ1台分程度の大きさです。
一方で、現金の場合1キログラムは1,000万円ですが、厚みが10cmとかさばります。
ちなみに1kgは例えると牛乳パック1パック分の重さです。
金をだましとられる詐欺には、以下のような手口がある
オレオレ詐欺
オレオレ詐欺とは、犯人グループが高齢者の息子や孫などになりすまして、現金を要求するタイプの詐欺です。
この際に、現金の代わりに金をだまし取られる手口が最近増えています。
もともと電話口で「オレだよ、オレ」と言っていたことからオレオレ詐欺と呼ばれるようになりました。
被害者は特に70代や80代の高齢者が多く、最近は「カゼをひいていて声が変」などと言って本人と信じ込ませるケースが多いようです。
複数回の電話によって本人であると信じ込ませるなど、以前より手口も巧妙になっています。
高齢者の良心につけこんで人をだますため、非常に悪質な詐欺です。
警察庁にオレオレ詐欺の詳細な対策プランが掲載されていますので、関心のある方は以下にリンクしておきます。
金融商品詐欺
金は経済不安時の安全資産として高い人気を誇る商品で、保険として株式やFXといったリスクが高い資産と同時に購入する方が多いです。
金の取引は積み立て投資を行うものだといった説明で、実際には購入していないウソの話でお金をだまし取られるケースがあります。
また、店頭やインターネトを通じて、金を買わせて、買った金をだまし取る巧妙な手口の詐欺も登場しています。
高額な手数料や口座の管理費用などさまざまな名目で相手方からお金を吸い上げる詐欺も存在します。
金の購入に慣れていない方は、金の購入先に注意をしましょう。
LINEで個人的な取引を持ち掛けてきたり、個人名あての振り込みをすすめられるよな場合は、詐欺の確立が非常に高いので注意が必要です。
初心者の方は、田中貴金属や日本マテリアルなど有名な大手に相談してから、始める方が良いです。
劇場型詐欺
劇場型詐欺とは、警察官や会社の上司、弁護士といったさまざまな役割を演じる犯罪者が次々と出てくる詐欺のことをいいます。
それぞれの役者はすべて犯罪グループの人間で、相手をだますためにとことん信頼させるように迫ってきます。
まずは、固定電話や郵便物がきっかけになることが多いです。
見ず知らずの人に話をしてしまうような、人の良い方ほど詐欺グループのターゲットにされてしまいますので注意が必要です。
現金をだまし取ろうとするのが一般的ですが、ここでも金地金の取引を含ませることで、話の展開を読めなくさせるなど手口が複雑化しています。
詐欺にだまされないために何に気をつけるべきか
詐欺に遭わないためには、下記のポイントに注意しておきましょう。
- 警察官からの電話をすぐに信用せず、折り返し電話をする対応をとる
警察から普通は電話はありません。警察官をかたる詐欺の手口が最も多いので注意が必要です。
- 固定電話を留守番電話や録音機能だけにしておく
詐欺の手口に固定電話はとても多いです。
冷静に対応するために、録音を聞いてから、本当に連絡をとる必要のある人には自分から連絡をとるようにしましょう。
- 個人情報を見ず知らずの人に教えない
電話口の見ず知らずの相手や、訪問してきた初めて会う人には個人情報を絶対に話さないようにしましょう。
- 警察官や市役所、金融機関などは電話で暗証番号を聞くことはありません。
また、必要もなくキャッシュカードを預かったりすることは絶対にありません。
- 怪しいと少しでも思ったときは、まずは家族や知人に連絡をする。または警察(110番)に連絡する。
警察官をかたる犯罪者グループがおどすように電話をかけてくる手口が一番多い事実があります。
知らない相手が、不安になるようなことを言ってきたら、まずは家族や知人に相談しましょう。
いきなり警察に110番通報することが大切ですが、通報をためらう場合は警察相談専用ダイヤル「#9110」に相談してください。
まとめ
今回は、現金以外にも安定資産である金をだまし取られる詐欺が発生していることについて解説しました。
金の価格は2024年に過去最高値を更新しており、当面は高値が続くことが予想されるため、金をだまし取られる詐欺も引き続き注意が必要です。
普段、「金」の取引に慣れていない方が、見知らぬ相手からすすめられ、言葉巧みにだまされてしまう事例が多く発生しています。
また、2024年6月18日に犯罪対策閣僚会議において、「国民を詐欺から守るための総合対策」が定められました。
本対策は、近年増加している特殊詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺及びフィッシング等を対象に総合的な対策を取りまとめ、政府を挙げて対策を推進するものとなっています。
詐欺に対抗するためには、国民ひとりひとりの情報の収集と意識の向上が重要です。
詐欺の手口は進化し続けていますが、基本的な手法や特徴について把握しておくだけでも、被害件数を未然に防ぐことができます。
特に、見知らぬ相手からのメールや電話・訪問に対しては常に警戒心を持ち、個人情報を軽々しく提供しない姿勢が求められます。
詐欺は決して他人ごとではありません。
また、身近な家族や知人と情報をこまめにとることで、被害を未然に食い止めることができます。
そのうえで、疑わしい場合は立ち止まって考える時間を持ち、家族・知人・金融機関・警察に確認することが有効です。
読んでいただきありがとうございました。